顧客満足から従業員満足へ
自らが変わり、会社が成長 株式会社アステム
代表取締役 野口 敬志

インタビュー音声公開中!

倒産の危機…2代目社長として再起を図る

ロジャー

さて、この時間は電話がつながっております。宮城県倫理法人会のコーナーでございます。先週に続きましてね、素晴らしい方を今日はお電話での登場でございます。

遊花

この番組ね。倫理法人会からいろんな素敵な社長さんたちが登場するというね!いい番組になってきたね!

ロジャー

いい番組!(笑)

遊花

社長さんたちのお話って、やっぱり残るんだよ。ねえ?

ロジャー

残りますよね。やっぱり一言一言がね。

遊花

勉強になる。

ロジャー

そうなんですよね。みなさん参考にしていただきたいと思います。それではご紹介しましょう。宮城県刈田郡蔵王町にあります『株式会社アステム』の野口敬志さんです。野口さーん。

野口

はい。もしもし野口です。

遊花

こんにちは!よろしくお願いします。

野口

照れちゃいますね、立派な社長と言われると。

遊花

立派な社長じゃないですか!

野口

とんでもない、ありがとうございます。

ロジャー

蔵王町とお伝えしましたけれども、空調機器を扱う「株式会社アステム」ということで。そして一方では、宮城県倫理法人会法人局法人レクチャラー。経営塾の塾頭をやってらっしゃると。

野口

そうなんです。

遊花

これは経営者の人たちに何かを指導するというお役目ですか?

野口

そうですね。倫理法人会では毎週1回のモーニングセミナーがあるんですけれども。それでは飽き足らず、集中的に経営の勉強と倫理の融合を目指して半年間、月1回、1泊2日の勉強していこうというかんじです。

ロジャー

へぇ、そうでしたか!

遊花

経営者の方って勉強しているんですねぇ。

野口

勉強しないと世の流れについていけないという感じですね。

ロジャー

そうですね。時代も変わってきますしね、どんどんね。今日はいろいろお話をお聞かせください。はじめに空調機器を扱う「株式会社アステム」はどんな会社なんですか?

野口

うちの会社は業界は建設業界ですね。生業は製造業です。空調用のダクトです。空調機から空調された空気が各部屋にいくんですけども。三重丸ぐらいのところから風が出てきますよね?

遊花

あるある!あります。

野口

格子状になってたりとか。よくビジネスホテルの上についてるやつです。もうひとつは、ダクトの風量を調整するダンパーと言われる弁ですね。その二種類を刈田郡蔵王町から日本全国、北海道から沖縄まで出荷しています。

ロジャー

うわー!なくてはならない設備ですよね。

野口

ありがとうございます。そのとおりなんです。なくてもいいようなんですけども、なきゃダメだよっていう(笑)

遊花

暮らしているうえでは気づきにくいけれど、それがなきゃ困るっていうものですね。

野口

そうです、そうです。

ロジャー

もう長いんですか?

野口

創業は神奈川県の横浜市で昭和38年です。わたくしが1歳の時にスタートしました。

遊花

お父様が先代っていうことですよね。

野口

そうです。先代の父が30年間やっていただいて。その頃、バブルが崩壊して大変な思いをして、川崎の会社の方を締めて。宮城県の角田市に工場があって。そこだけが残って、私が経営を再建するという形だったんです。

ロジャー

へえ、そうですか!

遊花

よみがえったというか、立ち上がった会社ですね?

野口

倒産の危機だったんですけれども。同じ仕事なんですが、ちょっとしたサービスを付け加えて。注文を受けてからモノを作るから、納期が2週間くらいかかるんですよ。お客様が工事で付けるときに「アレ?注文し忘れちゃった…」ってなるじゃないですか。

遊花

あー、はい、はい、はい。

野口

最後の仕上げに着けるものですから、これはまずいよと。「竣工しちゃうよ!」と。あるいは「そこの場所でセレモニーが行われるよ!大変なこっちゃね!」っていうことになって、一個二個が欲しくなるわけですね。

遊花

うん、うん。

野口

そこで通常2週間のところを、中2日で仕上げるというビジネスモデルを組みまして。「感動的な短納期!」と言われて伸びてきた会社です。

ロジャー

相当な短縮ですよね?

野口

劇的な短縮です。

遊花

製造する時間を短縮したんですか?それとも、前もってリスクを負って用意しておくんですか?

野口

従業員の残業でカバーする。

ロジャー

なるほど。みんなの頑張りで。

野口

だから、ある時もない時もあるんです。お客様に「感動的な納期」を!ということで。大きな声では言えないですけど、残業時間100時間以上というのはゴロゴロいました。当時は。

遊花

あらららら…。でも、社員のみなさんからは「なにするの社長っ!」とならないもんですか?

野口

そこが従業員との確執が生まれちゃったところだったんですね。当時は「夜食を何にする?吉野家、セブンイレブン、コンビニ弁当?」そんな感じで聞いていくわけ。

ロジャー&遊花

(笑)

野口

私が買っていくと、みんな夜食を食べた後に9時10時までやってもらうと。一番すごかったのは午前2時まで。

遊花

うわ~

野口

「みんなご苦労さんね」と言って帰して。「明日8時出社だからね」って。

ロジャー&遊花

(笑)

遊花

でも、お弁当を食べたからって…。どうやって社員のみなさんの気持ちを落ち着かせたんですか?

野口

倒産するじゃないですか。川崎の方が。倒産したのもあるし、その前には経理のおふくろがガンで亡くなっちゃうんですよ。その半年前に弟が亡くなって…。34歳だったので「こんなにかわいそうな若い社長を助けなきゃいけない!」という従業員の思いが当時はありまして。「社長が言うなら短納期に挑戦しよう!」と挑戦してくれたものの、私はそれがうまくいって天狗になっちゃった…という感じですね。

遊花

大変なときだったんですねぇ。社員のみなさんのおかげですね。

野口

そうなんです。社員のみなさんのおかげというのは、倫理に入ってからわかったことで。当時は残業代も全部払ってるし、ボーナスも出してるし、社員はさぞかし喜んでいるだろう…という勘違いが生まれるわけです。

社内アンケートで噴出!社員たちの不満

ロジャー

勘違いなんですか?

野口

勘違いだったんですね!発覚したのは倫理に入会して、その年の秋ぐらいに社労士さんが「社内アンケートをしてみたらどうですか?」と。この社内アンケートがクセ者でした。

遊花

みんな、思いのタケを書いてくれちゃったわけですね?

野口

そうなんです!思いのタケを書いてくれたのが40個くらいありましたが、ほとんどが悪口なんですね。

ロジャー

あ~あ、そう…

遊花

頑張ってくれていたけど、不満はあったわけですね。

野口

相当あったんです。不満が30から40と。「会社に行く前に吐き気がする」とか「残業やめてくれ」とか。それはそれは、ひどい項目が続きまして。もう、顔面が紅潮しちゃって私。社労士さんが慰めるっていう感じでしたね。「社長と従業員の思いの乖離は当たり前なんです」なんて言われながら、プルプルしていたんですよ。

ロジャー

あららら。そうなんですか。

野口

最後に一行、こういうのがあったんですよ。「このような調査をするのは、会社が社員のことを考えてくれている証しだ」と。

従業員満足度No.1の会社を目指すきっかけは倫理の学び

ロジャー

なるほど、一行だけ?従業員満足度№1の会社を目指すきっかけは倫理の学び

野口

はい。あとはぜんぶ悪口です。その一行に倫理法人会知の勉強会での「多くの恩の中に生きているのが人間」という言葉が思い出されまして。これはアカンと気がついて、社員を集めて。「申し訳ない!俺は間違っていた。これからは顧客満足度ナンバーワンじゃなくて、従業員満足度ナンバーワンの会社を目指す」っていう宣言をすることになったんです。

遊花

へぇえええ(驚)

ロジャー

それはかなり精神力も使いますし、決断があったんじゃないですか?

野口

そうですね。決断をさせてくれたのが倫理法人会での勉強だったんですね。

遊花

そこで気づかされたわけですもんね?

野口

そうなんです。そこが倫理の勉強の凄いところなんです。そこで気づかされた。

ロジャー

そうですか(驚)

野口

ふつうは、怒って犯人探しをしますよ。誰が書いたんだ?!って。「こんなに給料払って、残業代出して、ボーナスも出しているのにふざけるんじゃねーよ!」という思いはあるけれども。勉強していたおかげでグッと踏みとどまって。ああ、間違っているのは自分だと気づけたんですね。

ロジャー

お聞きになりましたか?みなさん。

遊花

すごいなぁ!

ロジャー

ここ、すごいところですよね。私が言っちゃアレですけど、大きな成長をされた瞬間じゃないですか?

野口

そうですね、うちのターニングポイントでした。

ロジャー

そこから毎朝、社員一人ひとりと向き合って挨拶を実践したと。そこから「向う方向性が同じになってきた」とうかがったんですけども。どうでしたか?それをきっかけにどのような変化が?

倫理の基本、挨拶の実践で社内の意識に変化が

野口

これも倫理なんですが、挨拶が基本だということで。当時、30名から40名ぐらい従業員がいたのですがその一人ひとりに向って「おはようございます」、「ご苦労様です」という思いで挨拶をしようと実践を始めたわけです。

ロジャー

それは朝、会社の前に立って…みたいな感じで?

野口

朝礼が終わった後、従業員が各機械とか工程に行った後にその場、その場に行ってですね。

ロジャー

野口さんが行って?素晴らしい!

野口

今は120人ぐらいに従業員が増えましたが、今でもやっています。

遊花

挨拶して歩くだけでも結構な時間を要しますよね?

野口

そうですね。顔を見て「おはようございます」って言うと「この子、元気なのかな?」とか。あるいは「ちょっと顔色悪いなあ」って思うと後で総務に「あの子顔色悪かったけど?」と聞くと「実はこうこう、こういう問題あって…」みたいなのがわかります。

ロジャー

やっぱりあるんだ、理由がね。今はどうですか?野口さんの見た感じでは?

野口

今はすごいですよ!倫理に入って3年ぐらいでこんな事があって。そこからは従業員がベクトルが同じ方向に向いて。従業員が何を見ているかっていうと、経営者を見ているんですよね。経営者を見て「この人について行けるのか?行けないのか?」と。いわば人生を託すようなところもありますよね。

遊花

そうですよねぇ

野口

「この会社に入ってどうなるんだろうか?」って思う。そこに信頼感が生まれると、自分も会社を良くしていかなきゃいけないって思いになって。経営者はアイディアマンですから「こうしたい、ああしたい」がある。「社長やりましょう!そうしましょう!」という良い循環が始まったということです。

ロジャー

すごいなあ。

人間関係の基本は「報恩」にある

遊花

すばらしい。今、野口さんは経営者の方たちに指導する立場でもいらっしゃいますよね。それぞれの会社のそれぞれの悩みとかあるものですか?

野口

社長としての悩みって、売り上げ不振とかいろいろあるんですけど。一番共通するところは、人間関係ですよね。要は従業員が言うことを聞いてくれない。

ロジャー

そこですよね。それが会社の強み、組織力に繋がっていかなきゃいけないですもんね。

野口

はい。10人が右向いて、10人が左向いたらパワーは0ですからね。それが両方向けば20の力で動きます。

ロジャー

そうですね。同じ方向を向けばね。

野口

みんなそんなところですね。基本になっているのが「報恩」なんです。その基本は親との繋がりなんです。大体、二代目・三代目になると親のやってきた路線をひっくり返すとかね。「あんな親父は古いわ!」と。

ロジャー

野心を持って意気込んできますが、なかなか…

野口

そうじゃないと。親を認めて、理念とか今までやってきたものづくりとか、あるいは商いとか、代々の約束ごとやいろいろなことがある。そういった動かさない部分と戦略戦術で近代風に変えていかなきゃいけない部分がある。そのメリハリがみんなできてないって感じで。

ロジャー

なるほど、なるほど。

野口

そこを塾では一緒に考えるという感じです。

遊花

お互いに参考になったりとか、同じ経験したりとか、アドバイスしあえることってあるでしょうからね。経営者さん同士だとね。

野口

はい、コンサルじゃない良いところは実体験でお話ししますので「なるほど、こういうことがあって、こういうふうに従業員から言われた」という、今みたいな話ですよね。「それって自分のとこでも起きているな」とわかると、こうやって解決して、こうなったよっていう話ができる。その根幹は倫理なんです。

遊花

倫理法人会に入っていたことで会社も救われたし、野口さん自身も救われたし、社員も救われたって…いいターニングポイントでしたね。

野口

倫理に入っていなかったら大威張りで、次々と辞めさる、辞めたいヤツは辞めろみたいな。そんな社長いらっしゃるでしょう?知っている人の中に。

遊花

聞きますよねぇ

野口

それではダメですよね。

遊花

いろいろなことがあって、現在のこの会社があるって感じですね。やっぱり歴史だね。

倫理の学びのすすめ

ロジャー

本当にそうですね。歴史ですね。積み上げてきたものがね。今、遊花師匠も言いましたけども倫理法人会で経営塾の塾頭ということで。倫理法人会の会員のみなさんじゃなくても受けられるんでしょうか?

野口

まずは倫理法人会に入会していただいて、ある程度のモーニングセミナーを重ねないと価値観が同じにならないんで…

ロジャー&遊花

そうか!なるほどなるほど。

野口

1年ぐらいモーニングセミナーに出てもらって。そうじゃないとチンプンカンプンで「こんなことなに関係あるの?」っていう話になっちゃって。最低でも半年は必要かなと思います。

ロジャー

そうですね。みなさん、ぜひ宮城県倫理法人会のホームページ開いて、まず入会していただいて。

遊花

そうそう。入会してモーニングセミナーからね。どこかの単会のモーニングセミナーに。

ロジャー

知り合いでも悩める社長がいましてね。自動車部品の工場をやっているんですけど「自動車部品のプロではあるけど、人との関係はプロじゃなかった」ってすごく反省していた社長がいたんですね。

野口

そういう方には本当にいいですよ。倫理は。

ロジャー

その業種に対してはプロフェッショナルでも、従業員をどう使ったらいいかはド素人だったって反省していた人がいました。野口さんのお話を聞いていると従業員はホッとするし、力を出せるっていうね。燃料注入されますね。

遊花

そうですね!

野口

本当にそのとおりなんですね。だから大事なんです。会社であっても、どんなことであっても一人では生きていけないんですよ。繋がりが大事なことなんで。勉強するとぜんぜん違います。

ロジャー

なるほど。今の話、聞いていて身が引き締まるね。

遊花

例えば野口さんのように、一人が気持ちを変えると周りは変えられるし、周りも変わるんだなと思いました。

野口

変わるのは自分なんですよ。社長の自分が変わると周りが変わる。

遊花

私たち社長じゃないけど、ちょっと変わりましょう!今日の放送からピシっとしましょう(笑)

ロジャー

今日の放送から?

ロジャー&遊花

(笑)

ロジャー

お忙しいところ、ありがとうございました。

遊花

いいお話を聞きました。

ロジャー

みなさん、ぜひ倫理法人会のホームページを開いて。悩める経営者のみなさんじゃなくても、サラリーマンでも入れる。まずは入会していただいて。空調機器を扱う蔵王町「株式会社アステム」の二代目社長の野口敬志さんでした。野口さん、ありがとうございました。

遊花

ありがとうございました!

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